最近では男性だけの悩みではない頭髪の薄毛…。
女性のみなさんもウィッグや植毛という言葉に、耳をかたむけることも多いのでは?
歳を重ねるごとに気になる人もいれば、全く気にせず過ごしている人もいるでしょう。(ちなみに私は父方の親戚が微妙な感じなので、年々大丈夫か冷や冷やしています。)
しかし、薄毛になるかならないかの違いは何なのでしょうか?
薄毛の症状や原因によっては、ご先祖様からの「遺伝」が関係していることもあるんです。
今回は体毛の中でも特に気になる頭髪の薄毛についての、原因や遺伝についてご紹介したいと思います。
【体毛とホルモンの関係】
体毛の中でも頭髪は、その人の第1印象を決めかねない重要なものですよね。
量や髪質、白髪の有無などで年齢や性別について、おおよそ検討がつくくらいです。
この好感度を左右する頭髪はもちろんのこと、他の体毛にもホルモンが大きく関わってきます。
・男性ホルモン(テストステロン)
・女性ホルモン(エストロゲン)
2つのホルモンです。
ご存知の通り女性には主に女性ホルモンが分泌されていて、男性には主に男性ホルモンが分泌されています。
ここで注意したいのが、女性にも男性ホルモンが分泌されていて、男性にも女性ホルモンが分泌されていることです。
女性が分泌する男性ホルモンの量は、男性に比べておよそ1/10〜1/20とかなり少ないですね。
しかし、男性が分泌する女性ホルモンの量は、女性がエストロゲンを最大量分泌するときの1/6ほどと意外と多いんです。
では女性ホルモン・男性ホルモンそれぞれの役割です。
女性ホルモンのエストロゲンは髪の成長を促したり、髪にツヤやハリを与えるなど頭髪の担当です。
男性ホルモンのテストステロンは頭髪についてはほぼ管轄外で、ヒゲやワキ毛、胸毛などの太くて硬い体毛の担当です。
体毛が濃かったり薄かったりするのは、両親や祖父母からの遺伝も大きく関係しますが、各ホルモンの分泌量も大切な要素となります。
なので、両方のホルモンのバランスがうまくとれていることが、男性らしい・女性らしい体毛の生え方に繋がるといえます。
【女性の薄毛に起こる症状とは?】
女性も気になる薄毛ですが、症状には色々と種類があります。
・円形脱毛症
・牽引性脱毛症
・圧迫性脱毛症
・分娩後脱毛症
・脂漏(しろう)性脱毛症
・粃糠(ひこう)性脱毛症
・びまん性脱毛症
・女性男性型脱毛症(FAGA)
などなど、こんなに多くてびっくりですよね。
[円形脱毛症]
極度のストレスで発症するイメージが強い円形脱毛症ですが、最近では自己免疫疾患が原因ではないかと考えられています。
外敵から身を守るための免疫機能が、毛包(もうほう。毛根を包んでいて毛を生やすところ)を攻撃してしまい、毛が生えるのを阻止してしまうんです。
脱毛箇所が1個だけのこともあれば複数できることも。
自然治癒することもありますが、念のため病院で診てもらうことをオススメします。
[牽引(けんいん)性脱毛症]
牽引=引っ張ることで起きる脱毛症です。
キュッと引っ張ることで、頭皮に大きな負担がかかるために薄毛の原因になります。
ポニーテールや編み込みなどの、髪を引っ張って結ぶ髪型ばかりしているとなりやすくなります。
引っ張り過ぎて生え際が後退してしまうことも…。
[圧迫性脱毛症]
帽子やヘルメットなどをずっと被っていることで起きる脱毛症です。
長時間の着用により、毛根や毛穴が傷つくことで毛が抜けてしまいます。
通気性の良いもの被ったり、頻繁に帽子をとるようにして圧迫をなくすことがオススメの対処法です。
[分娩後脱毛症]
一生懸命出産した後に毛が抜けてしまう、とても悲しくなる女性特有の脱毛症です。
ホルモンバランスが崩れることで起こるので、ほとんどの場合自然に回復していきます。
しかし、高齢出産や過度なストレスなどで毛が生えるのが遅くなったり、そのまま抜け続けてしまうことがあるので十分な注意が必要です。
[脂漏(しろう)性脱毛症]
脂漏(皮脂の分泌が多すぎること)によって頭皮が炎症を起こしてしまってなる脱毛症です。
偏った食生活や合わないシャンプー、すすぎ不足などで皮脂が過剰に分泌されて毛が抜けてしまいます。
そのままにしておくと脱毛だけでなく、皮膚炎になってしまうので早めの受診が大切です。
[粃糠(ひこう)性脱毛症]
頭皮の状態が悪いく乾燥して、フケがたくさん出るときになる脱毛症です。
生活習慣の乱れや過度なシャンプーなどでフケが出て、毛穴をふさいでしまうと外に出るはずの皮脂が毛穴に溜まってしまいます。
すると、栄養が毛を生やしてくれる細胞まで行かなくなるので、毛が抜けてしまいます。
放っておくとどんどん悪化するので、病院で診てもらいながら生活習慣の改善などの努力が必要です。
[びまん性脱毛症]
次にご紹介するFAGAと同じで、髪の毛が全体的に薄くなる脱毛症です。
女性ホルモンの減少や加齢によるホルモンバランスの乱れが主な原因ですが、ストレスや過度なダイエットも一因といえます。
詳しくはFAGAをご覧ください。
[女性男性型脱毛症(FAGA)]
男性型脱毛症(AGA)の女性版です。びまん性脱毛症とも呼ばれます。
AGAと違うのは、特定の部分(頭頂部や前頭部)が脱毛するのではなく、びまん性脱毛症でご紹介したように、全体的に髪が薄くなることです。
ボリュームが減るので、分け目が目立つようになるんですね。
しかし、髪の成長を促すエストロゲンのおかげで、男性に比べて目に見えて進行することもあまりありません。FAGAになる原因は、女性ホルモンの減少やホルモンバランスの乱れなど以外にも、遺伝が関係しています。
【FAGAは遺伝する?】
先に記したようにFAGA(女性男性型脱毛症)は、環境要因以外にも遺伝が関係しています。
産まれる前から薄毛になるかどうかが左右されているのは、大変悲しいことですよね。
しかしFAGAになる過程には、ホルモンや受容体など色々な用語が出てきます。
どうして遺伝するのか?を知るには、用語について知ることも大事なことなので、先になぜFAGAになるのか?をご紹介します。
髪が生えている毛穴の内側には、毛髪の根元のあたりに毛乳頭と呼ばれるところがあります。
その毛乳頭に、5αリダクターゼという酵素(体で起こる化学反応を促進または抑制したりする分子)があります。
この5αリダクターゼが、男性ホルモンのおよそ95%を占めるテストステロンに作用して、抜け毛の原因になるジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンになってしまうんです。
そしてここから強力な男性ホルモン、DHTが畳みかけてきます。
毛乳頭には5αリダクターゼ以外に、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター。受容体とは、ホルモンやウイルスと特異的に結合することで細胞の機能に影響を与える物質。)があります。
この受容体とDHTが結合することで、TGF-βという成長抑制因子(脱毛因子)になり、髪が育たずに抜ける原因になります。
髪の毛の成長止まれ!という命令は、毛乳頭のまわりにある毛母細胞(髪の元となる細胞)にも届きます。
毛母細胞が細胞分裂することで髪はどんどん伸びていきますが、TGF-βから細胞分裂禁止令が出ると細胞分裂をやめてしまいます。
これに加えて閉経後の女性は、今まで髪の成長を促していたエストロゲンの分泌量が激減し、女性ホルモン優位ではなくなります。
こうして男性ホルモンの影響を受けるようになるので、FAGAを発症してしまうんです。
では最初の「どうして遺伝するのか?」に戻ります。
ズバリ!!
FAGA(AGAも)を遺伝するかは、男性ホルモン受容体でも特に「感度の良い受容体」が遺伝したかどうかで決まると言われています。
これが同じ両親から産まれた兄弟でも、遺伝したりしなかったりするそうです。
そして感度を決める遺伝子は、性染色体のX染色体にあると言われているので、母親からの遺伝になります。
なので母方の親族に薄毛の人がいたら要注意です。
それでも何もしないよりは、対策をしてから諦めたいですよね。
大きな薄毛要因として喫煙が挙げられます。
タバコは血液循環を悪くするので、頭皮には悪影響です。
それでなくてもタバコは「百害あって一利なし」です。
いきなりやめることはできなくても、健康と髪の毛のために徐々に減らしていきましょう。
ストレスもホルモンバランスを崩してしまい、男性ホルモンが優位になるので良くありません。
余暇の過ごし方を工夫したり、なるべくストレスフリーの生活に移行できるといいですね。
【まとめ】
ご紹介した体毛や薄毛の遺伝には、私も驚かされるばかりでした。
女性ホルモンや男性ホルモンが関係しているのは、なんとなーくそうかな?と思っていました。
でもまさか遺伝子や染色体にまで話が及ぶとは思いませんでした。
そしてまさかの、ほぼ「運」で決まる受容体遺伝です。
私は幸い、母方の親族はふっさふさまではいかなくても、薄毛の人はいないので安心しました。
しかし、頑張って赤ちゃんを産んだ後に髪が抜けてしまうなんて、ドッと疲れが来そうですね。
髪を伸ばすことが多い女性特有の、髪を同じところで結んだり、髪が長いと大変なシャンプーが脱毛に繋がるとは、ちょっと予想外でした。
今回、脱毛症の種類や原因がわかって、少しでもみなさんのお役に立てたでしょうか?
女性は特にいつまでもキレイでいたいと思うもの。
私もゆくゆくはキレイな白髪ヘアーを目指しているので、学んだことをこれからの生活にいかしていきたいと思います。